「……慣れてるから。倒すのも、殺すのも、憎まれるのも」 ――神凪アイ、カウンセラーに向けて |
いつの間にかひっそりと始まったこのコーナー! 今後はこの場を拠点として慎ましくヴァルフォースについて解説していくよ。 担当は主にボクとメイさんの予定だよ。よろしくね! |
うむ、面倒じゃがよろしく頼まれよう。 それにしてもテンション高いなおぬし。 |
そりゃもう! 目立てる機会があるなら目立たなきゃ損だもん! |
目立つと何かいいことでもあるのか? |
いいこと? べつに何もないよ。 ボクが満足するだけ! |
さようか。 |
で、そもそもボクたちはどうしてドンパチしているの? |
そりゃー、ドンパチせねばならぬ理由があるからじゃろ。 |
だからそのあたりを詳しく…… |
仕方がないのう。 あれは試合じゃよ試合。ヴァルフォースという名の決闘じゃ。 この世界では、国同士などが揉めた際、おぬしらヴァルキリーどもを代表として戦わせてカタを付けるというルールが存在する。 なのでヴァルキリーたるおぬしらは互いに戦わねばならんのじゃ。 |
普通に戦争すればいいのに。 どかーんと。景気良く! |
どかーんとやって、まずいことになったからそういうルールが生まれたんじゃよ。 なので普段はおぬしらヴァルキリーを殴り合わせて決着を図り、戦争してもせいぜい『どか』くらいまでにして『どかーん』はやめましょうってことになったのじゃ。 |
景気良くやらないだけで結局やるんじゃん。 |
ルールは破られるためにあるからのー だいたいな、こんなルールがあるのもおぬしらヴァルキリーのせいよ。 |
そうなの? |
今までこの世界は比較的平和……でもなかったが、ヴァルキリーなどというバランスを崩壊させる兵器が現れたせいで面倒なことになったのじゃ。 |
ボクたちそんな強そうには見えないけどなあ…… |
そりゃ試合中のヴァルキリーは出力を極限までセーブしとるからな。 全力のおぬしらは走るだけでソニックブームを巻き起こすようなモンスターよ、怪物よ。 |
うわ物騒。 |
そんな連中を本気でけしかけ合うとロクなことが起こらん。 だから自重しようぜという決まりができたわけじゃ。 どうじゃ、理解したか? |
うん、多少は! |
そういうわけでお前らは試合で敵を叩きのめしてなんぼの存在じゃ。 勝てば官軍、負ければクソよ。 無様を晒しても属する国や企業からクズ呼ばわりされる程度だから気楽に行けい! |
それ、随分とヘビーじゃない? |
まーの。実戦に駆り出されることがあれば死ぬかもしれんしな。 年頃の娘にはきつい稼業じゃの。 かといって代わりを務められる者もおらんから諦めが肝心よ。 |
ふーん。 |
ところでこの世界の技術水準はどの程度なのかな。 |
ぼちぼちじゃな。 |
それじゃ全然わからないよー |
結構進んでおると思っておけい。 今時人体改造はさして珍しいものでもないぞ。 |
まさかボク達も…… |
ヴァルキリーどもに対して大規模な改造はあまり施されんよ。 んなことせんでも極悪じゃからな。例外は存在するが。 |
そうなの? |
そうじゃよ。 まー、ここ数十年であらゆる技術が伸びに伸びたわ。 小さいものから大きいものまでな。 |
じゃあヴァルキリーも技術が進歩していくうちに生まれたわけ? |
いや、ヴァルキリーはオーパーツやらロステクを礎とする兵装でな。 通常の進歩の中では生まれるはずのなかった代物じゃ。 だからインチキ度が一際高くなっておる。 |
そんなとこだろうとは思ったけど。 |
ヒマがあればそのへんも追々説明していくわい。 とりあえず今回はこれにて終了するぞ。 |
え、もう終わるの? |
初回から飛ばすと疲れるからの。 |
ぶーぶー |
それにしても何も知らないフリをするのって疲れるね。 |
教わる側と教える側という配役なのだから我慢せい。 こっちだって面倒なんじゃ。 |
逆でもいいよ? ボクがびしびし教えてメイさんが教わる感じで! |
んー…… ダメじゃろそれ。似合わん。 |
やっぱり? |