「問題は外套の方に力の大半が持って行かれることですな。 隠密作戦機としては優秀だと思いますが試合には向きませんよ。 いっそ外套を外して機動に回せば充分いけると思いますがね」 ――トワイライト・ドール技術スタッフ曰く |
前回までのあらすじ。 |
宝鏡メイが用意したイージーミッションを無様に失敗した能無しコンビ、美澤エレナと春風レン。 |
次に呼ばれた、最強の機体を駆る黒羽ナガレとおまけの月影アヤカは華麗に、完璧に、一分の隙も無く、主に黒羽ナガレの絢爛な活躍によってミッションをクリアした。 |
そして今度は斑鳩セツナの番らしいけどもうどうでもいいわ。 |
以上。 |
なんか表現が偏ってない? |
だってこれ黒羽さんが書いた原稿だから…… |
……というわけじゃ。 |
で、障害は隠れている神凪と六堂の近くに埋めてある爆弾というわけか? |
説明の段階で全部把握したよこの人。 |
いつ襲われるかわからん稼業だからな。 周りに気を配るのは当然だろう。 |
まあ手早く終わらせるか…… |
参考までに黒羽月影組のタイムじゃが…… |
聞く必要もないな。 張り合うつもりもないがどうせ私が最速だ。 |
なんというスーパービッグマウス。 |
黒羽さんがさっさと帰っててよかったわね。 聞いてたら絶対に対抗するわよ…… |
さて。 |
ばさばさばさばさ |
なにそれお札? |
わー、すごい量。 |
ばさばさばさばさばさばさばさ |
袖口からずっと出っぱなしだけど……そんなに沢山どうやって使うのよ。 |
こうして使う(ぶんっ |
うにょーーーーーーーーーーーーーん |
なんなのよそのマジックハンドは! |
繋がったまま伸びてる……? |
……… |
一応迎撃する。 |
しゅばーんしゅばーんしゅばーん |
曲げ放題で速度も出る。 こういう状況では重宝しているよ。 射撃で妨害されようが―― |
うにょ しゅばーん うにょ しゅばーん うにょ |
ご覧の通りだ。 |
全部器用に避けてるし…… |
あとは回収したいものに巻き付けてから引き戻せばいい。 |
ぐるぐるぐるぐるー |
縛られてしまいました。 |
確保。 |
あれ? 爆弾はどうしたの? |
見えとらんかったのか? 先端から離脱した一枚が黒羽のダガーと同じようなことをしたじゃろうが。 |
いくらなんでも超人すぎでしょ。 |
にゅいーんにゅいーんにゅいーんしゅるるるる |
あ、今度は縮んでる。 |
掃除機のコードみたいじゃな。 |
いつの時代の掃除機よ。 |
百年くらい前か? |
……というわけで六堂ごと回収完了だ。タイムはどうだ? |
そりゃなあ……ぶっちぎりのレコードじゃよ。 |
だろうな。 |
それにしても黒羽さんや月影さんの場合はともかく、斑鳩さんのやり方とかはもう何の参考にもならないわね…… |
そう思っている内はまだまだだな。 どうして参考にならないと考える? |
いやだって無理でしょ。 あんたと私の機体じゃ違いがありすぎるし。 |
お前の右手の武器でも同じことは可能だ。 難易度はかなり上がるが。 |
えー…… |
しかし不可能な奴には永久に不可能だ。 どれだけヴァルキリーとして強くてもな。 |
例えば神凪あたりはそうだ。 奴はヴァルキリーを単なる兵器としか見なしていない。 神凪に限らずとも大半はそうだろう。 |
前置きはいいから具体的にはどうすればいいわけよ。 |
まずはヴァルキリーを疑え。 次にその存在が異常であることを確信しろ。 |
おいこら余計なこと吹き込むなっつーの。 |