「お下がりくださいマリア様。ここは私が」 「……でも、私は襲われても大丈夫らしいですよ?」 「ええ。私もマリア様を庇う必要性など微塵も感じておりませんが、これも様式美ですので」 ――主人と従者 --------------------------------------------- |
今回も相性意識調査を行う。 |
結局続くんですね。 |
うむ。 |
それで次は誰について聞くのよ。 |
そうさなあ…… 前回が脳ミソの足りない春風じゃったから、今回は常識人代表ということで月影、おぬしはどうよ? |
私ですか。 |
大前提としてまともな意思疎通が可能なことなので……春風さんと六堂さんはないですね。 |
神凪はええのか? |
神凪さんも避けたいですかね。 さっきの二人よりはマシでしょうけど、いざという時にこちらの指示を理解して自分の行動を変えるかというところに疑問が残ります。 |
要するに神凪さんは強情そうってこと? |
否定はしない。 |
一旦突撃すると決めたら火の玉のように斬り込んでいくからなこやつは。 |
で、残る四人であれば誰でもいいと言いたいところですが……黒羽さんは情緒不安定? なのが気になりますかね。 |
じゃが黒羽を除いても三人残るな。 それでもあえて一人選ぶとしたら誰よ? |
であれば美澤さんですかねえ…… |
宝鏡さんや斑鳩さんが相棒だと私の方が二人の考えを図りかねて上手く合わせられない気がするんですよね。 |
それはそれで楽なのかもしれませんが、いまいちしっくりこないというか。 |
今までさんざん人の尻拭いばっかりやってそうじゃしなおぬしは…… そういうのに慣れきってしまったか。 |
かといって問題外の相手と組んで頭を痛めたくはないわけです。 |
だから美澤さんくらいが丁度いいってこと? |
ええ。 将来への期待込みでならこの中で一般的なヴァルキリーとして誰が最も優秀かといえば間違い無く美澤さんだし。 |
おい美澤、褒められとるぞ。 |
……そんなこと言われたって嬉しくもなんともないわよ。 |
鼻の穴ひろがってるよ? |
うっさいわね! |
なんだ貴様等……またぞろ集まってくだらんことでも話しているのか。 |
うるさいわ。 つーか呼んだらさっさと来んかい。 |
あ、斑鳩さんだ。 |
まー、とりあえずおぬしにも聞いておくか。 |
ぬ? |
………というわけなんじゃが、おぬしは誰を選ぶよ? |
神凪だな。 |
え、即答? |
……… |
そりゃまたどうしてよ。 |
まともに協調して戦う気なんかねえってことじゃろ。 |
でしょうねえ。 |
察しがいいな。 |
こと戦闘に関して神凪は余計なことを考えもしなければ遊ぶこともないからな。 |
求めるのは迷いの無い人間砲弾として機能だけだ。 後は私がどうにかする。 |
定められた役割をこなしてくれればどうでもいい、と? |
ああ。 |
そういう選択基準ならば一番ブレねえのは確かに神凪だわな…… |
まるで道具扱い。 |
気に障るか? |
別に…… |
ご覧の通りだ。 余計なプライドもないとは大変結構じゃないか。 腹の底ではどう思ってるかはともかくな。 |
月影が柔軟性を求めて美澤を選んだのとは正反対じゃのう。 |
説教はしないの? |
神凪にか? するだけ無駄だ。 |
それに曲解のしようも無いくらい明快な命令を予め与えておけば説教が必要な事態にはならんだろうよ。 |
じゃあボクも斑鳩さんと組んでもいいかも! |
貴様が相手なら毎回泣くまで説教してやる。 どんな命令を与えても貴様は必ず無駄にするだろうからな。 |
やっぱやめた! |
けど、命令に従うという点では月影さんや美澤さんでもいいと思う…… |
ダメだな。 |
まず美澤は死ねと命令した時に素直に死ぬようなタイプではない。 |
あったりまえでしょ。 |
そして月影は死ねと命じられれば死ぬだろうが、普段は月影なりの最適行動を取ることでこちらの思惑を外す可能性がある。 |
黒羽さんとか宝鏡さんは? |
あいつらが他人の命令を大人しく聞くとでも思うのか? |
聞かないでしょうねえ。 |
よーわかっとるではないか。 誰がおぬしの指図なんか受けるかよバーカ! |
子供かあんたは! |