「来年はパーティーの人数も増えとるかのう」 「宝鏡さん、何か言った?」 「人が多いと喧しいなと言っただけじゃ」 ――聖夜に願う --------------------------------------------- |
ボクは、ライブの予定が入ってるよ。 |
え、あんた本当にアイドルだったんだ? |
何度もそう言ってるでしょー、もう。 |
特別な日をファンのみんなと過ごすのは、アイドルとして当然なのだ。 |
ふーん。 あたしは学校の友人と過ごす予定ね。 |
男か? |
ご想像におまかせします。 |
つまり女の子とってことかぁ。 |
……。 |
どうせだったら雪も降ってほしいよねー。 |
うちの国にくれば、嫌でも雪が降ってるわよ? ブリザードとかダイヤモンドダストだけど。 |
お、お断わりします。 月影さんは? |
私は実家に帰って両親と過ごす予定ね。 そういう日なんじゃないの? |
良い子がプレゼントをもらえる日……。 |
ほう、神凪。何か欲しいものでもあるのか? わりと無欲だと思っとったんだがのう。 |
世界平和。 |
靴下には入らないですね。 宝鏡さんは? |
法廷も休日だからのう。 例年だと、暇な職員どもがパーティーか何かやっとるようじゃが。 |
わらわとしては興味ないのう。 |
ケーキ。 |
パーティーやっとる連中にたかってこい。 |
むー……。 |
ボクたちが潜り込んだら怒られる? |
法廷は建前上中立じゃから別に構わんが……。 最近お前ら、自分たちが国の軍事機密だって忘れとらんか? |
えー、別にー。 楽しいんだから別にいいでしょー? |
というか、あんたさっきライブだって言ってたじゃない。 |
中立だからといって、ヴァルキリーがひょいひょい出入りしてて良いもんなんでしょうか……。 |
良いわけないじゃろ。わらわが特別に許可させてるだけのこと。 お前らが暴れたら、わらわが腹を切ることになっておる。 |
うそっ!? |
ボクたちそんなに信用されてたんだ!? |
……。 |
何を勘違いしてるのか知らんが、おぬしたちの腹をじゃぞ? |
紛らわしいわね! |
信用されてないー……。 |
だろうと思いました。 |
いやいや、信用しておるぞ。 わらわがおぬしたちの腹を切り裂くような事態にはならない。とな。 |
っと、明日の夜の過ごし方。だったかの。 |
えーっと、あとは六堂さんもお祝いしてるのかな? |
それは無いじゃろ。宗教的に考えて。 |
宗教?? |
あー、なんでもない。 独り言じゃ。 |
黒羽さんは家族とってタイプじゃなさそうですね。 |
あいつ、家族おらんしのう。 最後にいた兄貴もくたばっちまったし。つまらん。 |
斑鳩さん……。 |
殺戮パーティーとかのほうが似合いそうですが。 |
今度本人の前で言ってみたらどうじゃ? |
まぁなんじゃ。 お前らそれぞれに予定が入っておるようで大変結構。 |
人生は目一杯楽しむもんじゃ。 |
……。 |
どうしたの? 神凪さん。 |
何でもない。 |
――翌日夜―― |
で、なんでおぬしらがここにおるんじゃ。 |
いや、よく考えたら……。 |
時差があるので両方出席できると……。 |
気づいたのだー♪ |
頭いい。 |
神凪さーん、プレゼントの猫ストラップだよー。 |
聖夜を二度か。 はぁ、目一杯楽しんでおるようじゃのう。 |