「学生の頃の成績? 常にトップだったわよ。で、それがどうかしたの」 ――黒羽ナガレ、過去について問われ |
前回は随分と好き勝手な話をしてくれたわね。 |
別にいいじゃない。 私が誰をこき下ろそうが勝手でしょ。 |
まったく…… |
今回は予告通りババァどもについて説明するわよ。 |
せめてお姉様方とか言ってあげれば。 |
そんな必要はないわね。 |
あっそ。 |
まずは月影から解説するわ。 |
で、まあ……月影は流石よ。 機体はゴミだけど。 |
三年でベテランと言われるような世界で十年以上現役というのは相当よ。 試合も戦争もやりまくりで一通りの戦いを経験しているし。 |
とはいえ実戦経験が豊富なヴァルキリーなんて月影の他にも結構いるわ。 では月影が他のヴァルキリーと決定的に異なる点は何だと思う? |
んー…… ちょっと思いつかないかしら。 |
月影は士官教育を修了しているのよ。 引退後ならともかく現役のヴァルキリーとしては凄く珍しいわよ。 二十歳前には引退に追い込まれるのが当たり前の業界だもの。 |
つまり月影は軍人として高等な教育を受けた上で現場での経験も充分に積んでいるわけ。 戦争に対する総合的な理解度で月影を凌駕するヴァルキリーなんてそうそういないわよ。 |
だから月影の階級は飾りというわけでもないの。 一時期はヴァルキリーと通常戦力の混成部隊を指揮してたみたいだし。 |
よく教育課程を終えることができたわね。 ヴァルキリーとしての訓練が開始されたらそれどころじゃないと思うんだけど。 |
それなりに特別扱いはされたらしいわよ。 月影専用のカリキュラムが組まれたり。 |
月影はヴァルキリーとしての素質が判明した時点で既に士官学校に入学していたし、本人の希望も考慮していっそ卒業させたほうがいいって判断が下されたのよ。 |
なるほどねー…… |
最近の月影が実戦ではなく試合ばかりさせられている理由は、月影がもう取り替えの効かない人材となったからよ。 もちろん英雄に死なれては困るってのもあるんだけど。 |
たとえば偉い人達にとってあなたは別に死んだって構わないでしょ。 ヴァルキリーは貴重だけど、所詮は普通のヴァルキリーだし。 作戦上必要とあれば簡単に使い捨てにされるわ。 |
それ、気が滅入るから言わないでくれる? |
だけど月影は引退したとしても今後数十年に渡って組織に貢献できる能力があるわけ。 どこの国も企業も可能であれば大金積んで月影を招聘したいと思ってるんじゃないの。 教官とかヴァルキリー隊の指揮官とかやらせるには最高の人材だもの。 |
とりあえず月影ついてはこんなところかしら。 |
要するに月影さんって頭の中身だけで他のヴァルキリーよりも価値があるわけね…… |
そういうことよ。 |
で、次は……斑鳩さんについて? |
斑鳩はよくわからないからパスよ。 |
じゃあ宝鏡さんは。 |
永世者のことなんか放っておきなさい。 |
…… |
さて、これで全員終わりかしら? |
ちょっと待ちなさいよ最後の二人について何も説明してないわよ! |
いつか話す機会もあるでしょ。 |
うわ適当…… |