「最初は簡単なものから練習した方がいいだろう。 相手を掴むか拳を押し付けるかでもしてからこう叫べ。『イグニッションッ!!!!』」 「本当に意味あるんですかそれ……」 ――美澤エレナとトレーナー --------------------------------------------- |
ねえ。 |
なんじゃよ。 |
この前さー、必殺技の話してたじゃない……? |
ああ、しとったな。 |
実際のところ必殺技ってどんなのがあるのよ。 |
なんじゃ。 おぬし興味があるのか? |
使ってみたいのか? 叫んでみたいのか? 気持ち良くぶちかましてみたいのか? |
んなわけないでしょ! |
あたしはそんな恥ずかしいことするつもりはないけど、使われる可能性はあるじゃない。 |
そらまあ、そうじゃな。 |
だから知っておかなきゃならないのよ。 |
なるほどのー |
苦しい物言いじゃが一応は筋が通っておるな。 |
まあ教えてやってもよい。が…… |
が………? |
おぬし、本当に使ってみたいとは思わんのか? |
う……… |
そ、そりゃ本当に便利だってのなら、多少は……あくまで多少よ!? |
煮え切らんやつめ。 |
とはいえ必殺技つーてもな、色々あるんじゃよ。 |
それこそ文字通りの必殺で、その効能たるや相手は死ぬとしか言えんようなものから、それ本当に必殺技なんかと疑問なものまで多種多様じゃ。 |
どうせやらなきゃいけないのなら相手は死ぬみたいなので楽をしたいんだけど。 |
んな美味しい話なんぞ滅多にあるわけねえじゃろ。 |
完全な一撃必殺級級にもなると、例えばそうじゃな…… |
おぬしとわらわが有線コントローラーを使ってロボコンの舞台で戦っているとするじゃん? |
どういう光景よそれ。 |
物の例えだから細かいことはええんじゃよ。 |
一撃必殺級は、その状況下でわらわ自身がおぬし本体に殴り掛かって無力化したり、有線コードをちょんぎったりして、そんな反則をしておきながら誰にもルール違反や犯罪を咎められることなくやり過ごすような所行じゃよ。 |
あるいはロボットの方にこっそり対人兵器積んでて相手の操縦者を射殺したりか。 |
珍妙な例えだけどまあ難しそうなのはわかったわ…… |
流石にそこまで高度な攻撃をヴァルキリーがやってのけるのは至難の業じゃよ。 あるいはその手の機能を持った現物でも使わんことには厳しいな。 代表的なものだと当代真偶の鏖塵刀か。 |
あるところにはあるってわけね…… |
まー……操縦者を攻撃して、その行為を誤魔化せずに犯罪者としてしょっぴかれてもいいってのなら案外簡単だったりもするがの。 |
そうなの? |
所謂ヴァルキリーの自爆攻撃がそれじゃな。 通常、ヴァルキリーの行為なんてものはさっきのロボットの例えで言えば競技フィールド内で収まるものが殆どじゃが、自爆技に限ればその枠をあっさりと飛び越えるからおっかねえんじゃよ。 |
どっちにしろそれもポンポンできるようなことじゃないでしょ…… |
うむ。 |
というわけでここから先はもう少し大人しい必殺技の話をしようと思うのじゃが…… |
続きは次回な。 |
あーはいはい。 |