「これぞ秘技死点撃ち。相手はわりと死ぬ」 「この前は同じ技をファインドウィークネスだの言っていた気がしたが……」 「前は前。今は今。それはそれ。これはこれ」 ――夜霧シズカと担当官 --------------------------------------------- |
というわけで大人しい必殺技の話な。 |
あーはいはい。 |
で、どうやればいいのよ? |
いきなりせっつくんじゃねえわ。 |
とりあえずな、必殺技をぶっ放すためには必殺技がなきゃいかんわけじゃよ。 これはもう当たり前の大前提じゃ。 |
そりゃ、まあ、そうよね…… |
だからまずは必殺技を用意せねばらなん。 方法は二つある。 |
一つは、本人が某かの行為を必殺技にせんとする意志を持つことじゃ。 |
もう一つは? |
余人にあれは最早必殺技だと思われることで自然に必殺技が生まれるケースじゃな。 |
なによそれ。 |
以前、伝説についての話を斑鳩にされたじゃろ? |
そういえばあったわねそんなの。 強くて有名な子はそうであるというだけで有利になる、だっけ? |
うむ。それじゃよそれ。 自然発生的な必殺技とはその変形というか限定的な発露じゃな。 |
例えばな…… おぬしが試合で格上に押されながらも最後は逆転して連戦連勝を重ねたとするじゃろ? |
その際の決め技がいずれも地獄突きだったとする。 |
なんで地獄突きなのよ…… |
そして地獄突きで試合が決着したのはたまたまだったとしても、おぬしが地力で己に勝るであろう強敵達を次々と沈めたからには、余人はこう思うわけじゃ。 |
美澤エレナの地獄突きは格上すら一撃で葬る驚異のフィニッシュブローに違いない、と。 報道でもヘルファイター美澤とか呼ばれたりな? |
呼ばれなくていいから。 |
こうなると最初は単なる一つの打撃に過ぎなかったおぬしの所作が、特別な効果を持つようになる。 |
おぬしがその技で自発的に繰り出せる力が以前と何も変わらなかったとしても、当たればそこにボーナスが乗っかるわけじゃ。 |
いやいやいや、おかしいでしょそれ。 |
まー、そういうわけじゃから利用できるもんは利用しておいた方がええぞ。 つーても必殺技に依存し過ぎると大きなリスクも抱え込むことになるがの。 |
そうなの? |
特定の必殺技に頼りすぎるとそれ以外は取るに足らんカスだのと思われてマイナス方向の影響を食らったりもするからの。 この点については自分の意志で生み出した必殺技も同じじゃよ。 ご利用は計画的にというわけじゃな。 |
なんか不安定な代物ね…… |
結局のところ大事なのはバランスじゃよ。 実際におぬしら必殺技を持つとしたら、そうさなー…… |
普段から常用する逸話つきのものを一つと、自分で定めた滅多に見せんものを一つ持てばとりあえずは充分なんでねえか。 |
いつもは使い慣れた技で有利を得つつ、いざという時は隠し技でしばくってこと? |
そんなとこじゃな。 そのあたりのやりくりが上手いのはやっぱ斑鳩だわな。 |
あとは必殺技に関してついでに言っておくとな、威力や範囲を割増しするのは比較的簡単なんじゃが、変な特性を付けようとすると生み出す難易度が跳ね上がるぞ。 |
特に"なぜか当たる"ようなものがその典型じゃな。 目に見えぬ部分で高度な要素を操作せねばならんからの。 |
……となると、もしかして"威力のわりに力の消費が少ない"みたいな必殺技もわりと簡単に使えたりする? |
ほー? さすがに気付くか。 |
そいつはおぬし自身とその機体だけで完結する技じゃからな。 程度にもよるが簡単な部類よ。 |
まー、必殺技という呼び方からすれば違和感はあるが、その呼び方はあくまで話をわかりやすくする為のものじゃしな。 コスト削減という方向で用いるのも充分すぎるくらいに有益じゃよ。 |
なんか色々あるのねー…… |