「気のせいかなあ…… 六堂さんの武器って……たまに喋ってない?」 ――春風レン、試合後に |
六堂さんについて話すと言ってからもう随分と経った。 |
そういえばそうじゃな。 |
だから今回は六堂さんについて話すべき。 |
ならばそうするか。 この前はどこまで話したんじゃっけか? |
六堂さんの機体はインチキってところまで。 |
ふむ。 |
だからどのあたりがインチキなのか話してほしい…… |
そうさなあ…… |
その前に……おぬしは現物って知っとるか? |
知らない。 何それ…… |
となるとまずはそこからじゃな…… |
現物とはな、大昔の人類が使っていた武器のことよ。 たまに発掘される場合がある。 オリジナルと呼ばれたりもするの。 |
それってコアとはどう違うの…… |
現物は最初から武器としての形を持っておる。 機体の製造技術が未熟な頃は随分と重宝されていたぞ。 何せすぐに使えるからな。 |
だが今では殆ど使われておらん。 性能が低いというわけではないが、真に使いこなすのはなかなか難しい代物での。 新たに開発された現代の機体の方が使い勝手が良いのじゃよ。 |
もしかして六堂さんの機体は…… |
今おぬしが想像した通りよ。 六堂の機体は現物じゃ。 |
そう。 |
とはいえ現物というだけならば何もインチキではない。 現物を使っているヴァルキリーなど他にもおるしな。 どいつもこいつもそれなり程度よ。 |
なら、どのあたりがインチキなの。 |
現物にも色々とある。 非常に強力な物からゴミ同然の物までピンキリじゃ。 |
そして六堂が使っているアレはなー…… 単純に性能の限界が高すぎるんじゃよ。 |
第三世代機よりも? |
最早ヴァルキリーと比べるようなレベルではないわ。 フルスペックを発揮すれば世界を相手に一人で戦えるぞ。 |
またたわごとが始まった。 |
事実なのだから仕方がないわ。 |
そんなに強そうには見えないけど…… |
六堂が操る羽の数はそう多くないからの。 だがな、あの羽が百枚くらい同時に襲い掛かって来ても同じことが言えるか? |
百枚…… |
……… |
難しいかもしれない。 |
無理だとは言わんのな…… |
やってみないとわからないもの…… |
まあ、アレはかつて誰しもが最強と認めたクソ兵器よ。 戦場ではまともに相手をせんほうがよいぞ。 |
わかった。 気を付ける。 |
うむ。 そうしとけ。 |