「斑鳩セツナ。それがこの機体の名だ」 ――ジェーン・ドゥ、己を指差し |
色々な場所があるわよね。 |
藪から棒になんだ。 |
ヴァルフォースの試合場よ、試合場。 色々な場所で戦っているじゃない。 |
そうだな。 |
試合場ってどういう基準で選ばれてるわけ? |
試合の性質により様々だな…… 興行的な側面が強い試合ならば選手どちらかのホームグラウンドで戦う場合が多い。 |
スポーツと同じね。 |
そして重要な何かを賭けた試合は軌道の法廷が用意した試合場で戦うのが通例となっている。 |
なるべく公平に、ってこと? |
まあな。 |
ふーん…… |
あ、そうだ。 |
今度はなんだ? |
あんたのホームグラウンドってあの神社なわけ? |
どうしてそう思う? |
いや、その格好とか関係ありそうだし…… |
ふむ。 |
この際だから言っておくが……私は巫女ではないぞ。 |
そんな格好してるのに? |
仕方なかろう。 |
ヴァルキリーの動力源となるコアは時として独特の色を持つ。 そうしたコアは強力だが、特定のパラダイムに沿った機体に仕上げねば真価を発揮できん。 私の機体が巫女装束に似ているのはそれが理由だ。 |
あんたの趣味ってわけじゃないのね…… |
もしそうであれば私は更に強いだろうよ。 ヴァルキリーとして戦う者にとって精神的な要素は決して無視できるものではない。 機体が宗教に根差した形状をしているとなれば尚更だ。 |
だが、その手の強化にはデメリットもついて回る。 信じる神を疑えば反動で大幅にパワーダウンだ。 |
いいことばかりでもない、と。 |
そういうことだ。 |
じゃー、あの神社は結局なんなのよ。 |
単なる試合場の一つだ。 それ以上でも以下でもない。 少なくとも私には何の関係もない。 |
何よその肩すかしは。 |
貴様が勝手な想像をしていただけだろうが。 |
ったくつまらないわねー なんかこういわくつきの場所とかないの? |
ほら、あの辺り一面が青い試合場とかはどうなのよ。 あそこは存在自体がありえない気もするけど。 |
ああ…… |
あの場所については私も詳しいことは知らんな。 宝鏡にでも聞け。 |
あっそ…… |