「実は運動音痴とか………知られるわけにはいかない」 ――神凪アイ、一人言 |
以前、単純な強さについて話してやったであろう。 |
そんなこともありましたね。 |
今回はもっとシンプルな強さについて話そうと思う。 |
それは一体どういう意味ですか…… |
機体もヴァルキリーとしての力も無しのガチンコ勝負した場合の強さじゃよ。 |
つまり一人の女の子としてどの程度強いのか、と? |
うむ。 女の子だなんて笑わせてくれるわって感じの奴もおるがそこには目を瞑ろうではないか。 |
そんなことを明らかにして一体誰が得するんです。 |
どうせ益体のない話ばかりしているではないか。 今更そんなことを気にしてどうする。 |
それもそうですね。 |
とはいえどこからどこまでオーケーなんですか。 |
何がじゃ。 |
武器とかですよ。 |
持って使うような武器は禁止な。 ステゴロの勝負を想定せい。 |
他はなんでもありですか。 |
うむ。 |
となると……どう考えても斑鳩さんがずば抜けてますね。 |
まあフルボーグじゃしな…… |
戦闘用の義体に入られたら誰も敵いませんよ。 普通の女の子なんか二秒で身体を切断されてしまうかと。 |
おっかないのう…… |
で、次点は私ですかね。 これでも神経系は結構弄ってますから。 |
加速の類も入れとるのか。 |
ええ。 |
それは強いな。 |
あと格闘戦は大の得意ですし。 殴り合い取っ組み合いならそうそう負ける気はしませんね。 さすがに戦闘用フルボーグの相手は無理がありますけど。 |
……おぬし、もしかして射撃寄りの機体は向いとらんのか? |
向いてませんよ。 個人的な希望としては格闘機を使いたかったですね。 ですが色々と事情がありますので。 |
ふむ。 |
ところで貴方はどうなんです。 |
わらわはなー 技量だけならばどんな達人にも後れを取らぬ自信はあるが…… |
この身体ではどうにもならんのう。 体重と筋力があまりに不足しとるわ。 技でどうこうできるレベルではないわい。 |
成人女性並の身体があればどうです? |
その条件ならおぬしが相手で若干不利ってところかのう。 |
斑鳩さんの相手は無理ですか。 |
絶対無理じゃな。 せめてモノウィップあたりを使うことができればな…… |
でも今回は素手を想定ですからねえ。 |
うむ。 よって無理。 |
では、他の若い子達はどうでしょう。 |
他の連中は雑魚すぎて話す価値もないのじゃが…… |
でしたら投げやりでも構いませんので。 |
仕方がないのう。 |
まず六堂はぶっちぎりで最弱よ。 あやつは健康状態もいまいちなもやしっ子じゃからな。 |
ほとんど運動しとらんじゃろあやつ。 まあケンカには向かん! |
次は春風じゃが……あやつも健康状態いまいちじゃな。 そこまで厳しく管理されとらんのをいいことに不摂生な生活をしとるからの。 |
そして格闘技の心得もロクにない。 こいつもケンカには向かん。 |
次は神凪な。 あやつは身体の状態に関してはなかなか悪くない。 何せ健康管理が徹底されとるからな。 |
だが、それだけじゃの。 他に見るべきところなしよ。 どころかあやつは……まあいいわ。 |
次は黒羽な。 基本的には神凪と同じじゃが……あやつは身体に悪いことも色々しとるからのう。 他の奴らに比べれば体格は良いからその分だけ有利か? |
で、一番見込みがあるのは美澤かのー…… 素人同士の取っ組み合いであればかなり上手く立ち回りそうじゃからな。 |
いずれにせよ大した差があるとは思えませんね…… |
うむ。 |