夢ソフト

「七姉妹? ああ、例の生きていた死体どもか。

 頭部を粉砕されても戦い続ける事が出来たのだろう?」

                               ――斑鳩セツナ、雑談にて

この場に出てくるのも久々な気がするのう。

おかげで月影さんにかなりしわ寄せがいってたわよ。

ずっと月影のターンというのも良いではないか。

あやつが説明できるものについては任せてしまえばいいのじゃ。

じゃあ今回は月影さんだと説明できない話をするわけ?

そういうことじゃな。

今回は現物の種類について話すぞ。

現物っていうと最初からすぐに武器として使える物のことだっけ?

そうじゃよ。

おぬしらが知ったところでさほど得するわけでもないが……まあ気楽に聞いておけ。

気楽にと言われてもねー……




現物には幾つかの系統が存在する。

大雑把に分けて五つ程な。

どんな分類のされ方をしてるのよ。

基本的にはサイズや形状かの。

最もスタンダードなのはおぬしらが使ってるヴァルキリーみたいなタイプな。

剣だの斧だの個人携行用の武器って感じ?

うむ。数も一番多いぞ。

現在でも実際に使われている物は九割方がその手の武装系よ。

二つめは、概ね小型で形状も千差万別な術具系と呼ばれるタイプな。

こいつは一風変わった特殊機能を有している事が多い。

武装系と比べれば数は遙かに少ないが現在でも使用例はある。

そうなの?

それっぽいの全然見たことないんだけど……

そりゃなあ……

数が少ない上に術具系を扱える現代人などロクにおらんしの。

解析のためにラボでこねくりまわされることは多いが、試合や実戦で目にする機会は滅多にないな。

でも遭遇する可能性は一応あるわけね……

あるぞ。

いつぞやの七姉妹にしてもそのうちの一人が高位の術具を上手く扱ったからこそ抜群の強さを誇ったわけじゃしな……

そういえばあんたは当事者なんだっけ……

で、三つめのクラスは兵器系と呼ばれとるが……これはサイズがピンキリでな。

小さいものでは現代の装甲車並、大きなものでタンカー並かの。

でかすぎでしょ。

安心せい。

今も稼働している兵器系の現物など両手の指で数えられる程度しかないわ。

現物って大きい方が強いわけ?

そうとも限らん。

例えばグランドピアノとヴァイオリンに上下があると思うか?

微妙な比喩ね……

とはいうものの大きい方が強いという傾向は確かにあるな。

どっちよ。

ケースバイケースじゃ。

あっそ。

まあ説明を続けるぞ。

四つめのクラス、城砦系ともなるとサイズはいよいよ天井知らずよ。

平均的なものでメガフロートやアーコロジー並の大きさじゃな。

そしてただデカいだけならともかく大抵は高度な自己完結性まで備えておる。

そんなもんと戦いたくないんだけど……

だいたい本当に実在するのそれ?

実在する、が……

一つは機能停止したまま埋まっておる。

一つは誰も使うことができずに放置されておる。

一つは状態が完全かつ使い手もおるが実際には全く使われておらん。

稼働しているのを目にしたのは数千年前が最後じゃな。

もう永遠に使われなくていいわよ。

そして最後のタイプ、世界系については……次回説明するわ。

もっとでかいとか言うんじゃないでしょうね……