夢ソフト

「第六世界。それが、私の力の名前です。……らしいですよ?」

                               ――六堂マリア、聞かれて曰く

今回のお題は……?

ヴァルキリーの系譜でも話しておくか。

機体の方な。

たまにはシンプルなのもいいじゃろ。

ええと、ヴァルキリーはコアを加工して製造されるというのは説明済みじゃな?

月影さんが前に少し説明してた。

実際の製造工程などには全く触れてなかったけど……

工程つーてもなあ……まあ精密機器製造と重工業製品製造と錬金術が合体したようなものだとでも思っておけ。

表現が大雑把すぎると思う……

ともあれヴァルキリーは兵器じゃからな。

現在に至るまで様々な進化を遂げてきた。

ヴァルキリーはだいたい三つの世代に分けられる。

第一世代機、第二世代機、そして最先端の第三世代機じゃ。

もはや第一世代機は殆ど使われとらんな。

現在の主戦力は最も数の多い第二世代機じゃ。

第三世代機は配備がさほど進んではおらん。

ちょくちょく見掛けるようにはなったがの。

それぞれに特徴はあるの?

うむ。外見でほぼ見分けることが可能じゃよ。

第一世代機は非常に原始的な外見をしておる。

体の要所を覆うパーツと白兵戦用武器の組み合わせって感じかの。

じゃが腐ってもヴァルキリーには違いない。

装着すれば高速戦闘が可能となり、見た目の装甲が少なくとも結界防御も可能じゃしな。

従来兵器の攻撃が命中したり貫通したりする見込みはない。

剣や槍を振れば大地を割るような衝撃波も飛び出る。充分に凶悪じゃよ。

とはいえさすがに古い。

今時のヴァルキリーと戦うのは荷が重かろう。

ま、骨董品扱いじゃよ。

じゃあ第二世代機は……

第一世代機に比べて随分と近代的な装いをしているのが第二世代機じゃ。

火器とか推進器を搭載したタイプな。

でもって第二世代機は更に三つに分けられる。前期型、中期型、後期型じゃ。

例として挙げれば月影の機体が第二世代中期型じゃな。おぬしや黒羽は後期型よ。

月影の機体はおぬしらの機体よりも無骨な外見をしとるじゃろ?

うん。

あとは武装も火薬兵器っぽさが残ってたりな。実際には火薬なんぞ使ってはおらんが。

ともあれ第二世代機に関しては、時期が後ろになるにつれて総じて細身のデザインとなっておる。

先程の繰り返しとなるが、現在最も数が多く、安定した戦力として運用されているのは第二世代後期型な。

近頃は第三世代機が台頭し始めたことで苦しい戦いを強いられることもあるようじゃがの。

私はまだまだ余裕がある……

おぬしは第一世代機使っても大抵のヴァルキリーを叩きのめすじゃろ多分……

腕さえあれば多少の性能差を埋めることは充分に可能じゃ。

おぬしや月影、黒羽が現在も強者として第一線にいるのがその証拠よ。

じゃあ第三世代機の特徴は……?

第三世代機はなー……特徴の説明が難しいものもあれば簡単なものもあってな。

とりあえず前者から解説しておくか。まず美澤の機体は第三世代機じゃ。

あれは第二世代後期型と比べてそこまで外見が異なりはせん。

ただ、中身はかなり別物じゃ。機動力あたりは段違いじゃよ。

そのくせ黒羽の機体のように脆弱でもなく、かなりの防御力を備えておる。

美澤の機体はちょいと偏っとるが、無難なバランスに仕上げたならばおぬしの機体を全ての面で単純に上回るじゃろうな。

なるほど……

凄い。

いや他人事ではないじゃろ。

おぬし危機感とかないのか?

ない。

私の方が強いもの。

からかい甲斐のねえやつじゃのー

もっと焦らんかい。

そういうことは黒羽さんに言った方が楽しいと思う。

それもそうじゃな。

んじゃー、今度言っておこう。

では話を続けるぞ。

次はわかりやすい方の第三世代機な。

わかりやすい第三世代機の代表格が春風が使ってるような機体じゃ。

要するに兵器としての装いを半ば放棄したようなタイプよ。

左手から飛び出る円盤はともかくとして、手にしている長物には砲口の類が存在せん。

あの雷じみた攻撃も、複数同時に出す際には突然周囲に現れる。

あやつの武器は先端に刃付いとるから一般的には槍と言われておるが……あれは実質的には杖じゃよ、杖。

本人もそう言っとるしな。

あの真面目に防御する気が無いとしか思えん装甲も含め、果たしてそれがどのような意味を持つかわかるか?

……全然。さっぱり。

ああそうかいそうかい。

おぬしに的確な回答を期待したわらわが愚かであったわ。

つまりじゃな、一部のヴァルキリーはこれまで人類が積み上げてきた科学技術に根ざした形を捨て去るレベルにまで達したのじゃ。

黎明期故にシンプルな形状を取るしかなかった第一世代機とは異なり、それをあえて良しとする判断の下にな。

確かにヴァルキリーの性質を考えればそれは正しい。

にしても僅か数十年でよくぞそこまで辿り着いたものじゃ。

今後、美澤機と春風機とどちらの系統が主流となるか……わらわとしても興味津々じゃよ。

なんかたわごとが増えてきた……

まあな。

そういえば斑鳩さんのヴァルキリーも第三世代機なの……?

六堂さんのヴァルキリーもそんな感じに見える……

あー……、んー、あいつらはなあ……ちょっと特殊。

というと……

斑鳩はかなりのイロモノじゃよ。

一応は第三世代機に分類できるが、あやつの機体はかなりえぐい。

で、六道のほうは……最上級のインチキじゃ。

ありゃもうヴァルキリーとは言わん。

あれが許されるのならわらわのロボットだって許されて当然じゃよ。

はあ。

んじゃ次回はあいつらについて話すか……今回はこれにておしまいじゃ。