「……とりあえず仲良くしてみようと思う」 ――神凪アイ、同僚との関わり方について |
今回は家族についてよ。 |
なんか前回といいタイトルだけは穏当な話が続くわね…… |
そうねー |
とはいっても家族がいない子ばかりなんだけど。 |
そんなに? |
まず神凪さんが身寄り無し。 |
あの子は文字通りどっかから拾われて来たんだっけ…… |
もしかしたら同じ寮で暮らしてる子達を家族と見なせるのかもしれないけど、そこまで親密な関係だとも思えないし…… |
話を聞く限りでは互いに干渉せずに過ごしているみたいだものね…… |
で、次に黒羽さんだけど彼女の家族は全員亡くなってるわ。 お兄さんは不審死、同時期にご両親も車両ごと吹き飛んで爆死。 |
結構ヘビーね…… |
六堂さんも公開されている限りのプロフィールでは家族の存在が確認できず、そして実際にいないだろうって宝鏡さんが言っていたわ。 |
六堂さんについては家族がいるだなんて最初から思っちゃいないわよ。 |
そして斑鳩さんは家族が存命かもしれないけれど…… |
あの人の場合は顔も体も名前も戸籍も何から何まで変えちゃってるんでしょ? そんな状態じゃ家族どうこうって無理な気が…… |
そうなのよねえ。 |
というわけで以上の人達は今現在家族無しということよ。 |
まあ明らかにいなさそうな面子よね…… |
ええ。 |
……… |
……あれ? |
どうしたのよ。 |
宝鏡さんは? |
宝鏡さん? あの人はお姉さんがいるんですって。 |
……嘘でしょ? |
ただし家族と呼べるかどうかは疑問のようね。 かなり長いこと本気で喧嘩しているそうだし。 |
宝鏡さんのお姉さんってことはやっぱりバケモノの一種なわけ? |
バケモノの中でも一際危ない人らしいわよ。 頭のネジの飛び具合とかではなくて存在自体が。 |
あっそ…… |
で、次は春風さん。 彼女には離れて暮らしているお父さんがいるわ。 |
お母さんは? |
春風さんが小さい頃に亡くなっているそうよ。 |
ふーん…… |
ただ、そのお父さんってのが結構な変わり者でね…… 一般的な知名度はそれほどでもないんだけど一部業界では生きる伝説扱いよ。 |
何してる人なのよ。 |
アストロノーツ上がりの資源探索者兼学者。 工事用重機から人型戦車、戦闘機から宇宙船まで保有するヴィークル免許は数知れず。 プロジェクトの度に特定の資源相場を崩壊させる悪魔のようなおっさんと聞くわね。 |
よく生きてられるわね…… |
弾の方が勝手に避けていくような人種らしいから。 それに毎年一回は何らかのトラブルで行方不明になるそうよ。 |
でも生きて還ってくると。 |
なのよね。 そして性格も豪快そのもの、娘への躾や教育も随分と独自路線を貫いたそうだから…… |
あんなアホの子に育っちゃったと。 |
そういうことらしいわね。 ともあれ春風さんはお父さんに比べればまだまだ可愛いものだそうよ。 見た目の話じゃなくて人間として。 |
それで残ったのは私と貴方なんだけど…… |
あたしは……そんなに変わったところはないわね。 普通よ普通。 |
そう。 |
……追求しないわけ? |
今回はしてもあまり意味がなさそうだし。 |
じゃー、あんたはどうなのよ。 |
貴方と同じよ。 |
はあ。 |