夢ソフト

「おい、こんなところでエース同士がガチるな」

                               ――宝鏡メイ、控室で呆れつつ

やっほー、今日はプリンを持ってきたのだー!

……。

およ?

どうしたの?

いや、もう、なんか今さらなんだけど…。

なんであんたそんなにフリーダムなの。

え?

いや、確かに練習試合の相手ではあるけど、普通もうちょっと隔たりがあるものでしょ?

扱ってるものだってトップシークレットなわけだし。

お堅いのう、流石美澤、お堅いのう。

な!?

いやいや、わらわは嫌いではないぞ、おぬしのそういうところ。

くくく…。

何!?何かおかしいこと言った!?

ライバル国のヴァルキリーの仲が良いなんて、おかしいじゃない!

別に良いんじゃないかのう?

どうせおぬしたちエース級同士は、そうそう試合は組まれんよ。

え?

そうなの?

例えばじゃな。

春風よ、お前の目的は機体の宣伝にあるわけじゃが…。

うん、第三世代機であるボクのヴァルキリーと、その開発力を誇示するのが目的だよね。

春風がまともなこと言った!?

むー!

ボクだってこれくらいできますー!

お仕事はちゃんとこなしてるもん。

でじゃ。

誰がそれを、勝てるか分からん同じエース級にぶつけたい?

勝てば最高の宣伝じゃろうが、負けたら逆効果じゃろ。

ふふーん、勝てばいいんでしょ。

あんた、あたしとの練習試合の通算成績見る?

ボ、ボクは本番で力の出るタイプなの!

春風に限らず、大国や先進国同士はあまり試合をやりたがらんからのう…。

エースが負ければ言い訳できんからな。

例外もおるが…。

黒羽と、斑鳩ね?

うむ、あいつらガチじゃからのう。

あの二人はむしろ、他のエースこそぶっ倒したいんじゃろ。

あははー…。

あの人たち苦手かな…。

あ、でも試合となったら負けないよ!

そんなわけじゃから、おぬしらがイチャイチャしてても、あまり問題にならん。

ちょ、こら。

昔なら、ヴァルキリー同士が手に手をとってクーデターなんてこともあったが…。

今となってはそれはできんのは知っとるじゃろ?

だからまぁ、好きにせい。

おうおう、仲良きことは美しきかな。

ぶい!

いや、なんかこう、イラっとするものがあるけど…。

まぁいいわ。

この子の持ってくるお菓子が美味しいのは事実だし。

で、さっそく今日のプリンとやらをいただき…。

おかわり。

!?

!?