夢ソフト

「うーん……負けた方が一枚ずつ服を脱ぐのはどうかな!」

                               ――春風レン、じゃんけんの構えを取り

今回はなー、ギャンブルの話じゃよ。

ギャンブルと言われても色々あるとは思いますが、どういう類ですか?

銭をやり取りする類の博打じゃよ。

その中でも更に色々とありますが……

カードあたりでも想像しておけ。

馬や船、投機はひとまず脇に置くぞ。

はあ。





まずは博打ってもんが根本的に向かねえやつがおる。

誰かは……まあ、言わずともわかろう。

六堂さんですか。

うむ、あやつはカモの中のカモよ。

どんなゲームだろうとチップや点棒を一瞬で失うこと間違いなしじゃな。

何をやらせても全く身が入らんタイプじゃしの。

根本的に勝負事ってものに向いてないんですかね?

性格的には全く向いとらんよ。

ヴァルフォースにしてもあやつが強くあろうとして強いわけではないからな。

そして次じゃが……

神凪はなかなか評価が難しいのう。

あの子が強いとはとても思えませんが。

基本的にはカモの類じゃよ。

しかしあやつは状況がぴたりと嵌れば局地的に強い。

全ての情報が出揃っており、あとは詰めるだけのような場面では手を間違えんからの。

でもカードの類だと大抵は不完全情報ゲームですよね。

そうなんじゃよな。

じゃからトータルだといまいちかのう。

バカ三巨頭の一角、春風さんはどうなんですか。

あやつも性格的にはカモじゃよ。

無鉄砲でバカで楽天的じゃからの。

物怖じしない性格は長所だが、それだけではとても欠点を補いきれるものではないわ。

だが、な……

……?

春風は強い。

運が絡むものはとにかく強い。

本人がバカなのを帳消しにするほど運が良いからな。

運なんてあるんですか?

幸運というものは無視できんステータスじゃよ。

運のウェイトが重ければ重い勝負ほど春風には有利に働く。

イカサマ無しで単純に結果を当てるだけのコイントスあたりは無敵じゃよ。

その手の勝負だと同格の運を持っている奴でなくては相手にならんな。

いずれにせよ豪運なのをいいことに常識外れな展開を引き起こすもんじゃから、春風と卓を囲んだ奴はやりづらくて仕方がねえじゃろうな。

偏ってますねえ。

何でもありの勝負なら運命介入あたりで対抗はできるが……

そこまでアクロバティックなことを考えても仕方あるまい。

んーで、おぬしと美澤はぼちぼちじゃな。

平均よりは間違い無く強いじゃろうよ。

そこそこ出来の良い頭と冷静さを持っている奴が弱いわけはあるまい。

でもって勝負事全般についても適性があるしの。

あまりぱっとはせんが手堅く攻めることができるタイプじゃよ。

まあそうですね。

そして黒羽については……

あやつは頭のネジの締まり具合でかなりの変動があるが、とりあえずそれなりにネジが締まっているという前提で話をするとじゃな……

知能のウェイトが重い勝負ほど黒羽は強い。

六堂から美澤まで、今まで説明した面子が相手ならば大抵の勝負で圧倒するじゃろうよ。

短時間の勝負なら春風が運を頼りに上回るかもしれんが、長丁場であれば確実に大差がつく。

そして神凪が詰めにいくら強かろうとも黒羽が相手ではそんな場面まで行かせてもらえんわ。

性格についてもあの人を食った態度はポイントが高いな。

ともすれば慢心の温床にもなりがちじゃが、相手を徹底的にぶっ叩くメンタリティは悪くないぞ。

では斑鳩さんはどうでしょうか。

あれも強いな。

黒羽に迫る知能を持ち、勝負事はお手の物、他人の心の機微を読んで隙に付け込む容赦のなさ、内心を全く悟らせないポーカーフェイス……

心理戦についても化かし合い騙し合いは斑鳩の得意技じゃしな。

総合的にはおそらくあやつが一番強いんじゃねえか?

運は無さそうですけどね。

明らかに運が良い春風が変なんじゃよ。

普通ならば目に見えるほど極端な差など生まれぬものじゃからの。

そういうものですか。

うむ。

………

そういえば貴女はどうなんです。

わらわか?

ええ。

どう見ても弱いということはなさそうですが。

こと博打においてわらわの辞書に敗北の文字はない。

どんな奴が相手じゃろうと薙ぎ倒してくれるわ!

でも前に点1コアの勝負をした時にハコにされたとかぼやいてませんでしたか?

………

たまには……そういうことも、ある………