「似たもの同士というか、のせやすいというか…」 ――ナガレとセツナを眺め、メイがぼそりと |
そんなわけで、水上戦闘訓練である。 |
騙されたーーー!!! |
…訓練。 |
騙されたも何も、最初から神凪の訓練相手として要請をしたはずだがのう…。 |
あたしは上官から、夏休み休暇に招待されたと言われたわよ! |
だいたい、こんな絵に描いたような南の島にきて、何で訓練なんて…。 うう…。 |
やっほー! |
春風…? なんでこんなところに。 |
グラビア撮影だよー。 この島は、この手の撮影にもよく使われる有名な島なの。 |
好き勝手やれる訓練場かつ、プライベートリゾートが、この島の売りよ。 ヴァルフォース関係の奴らには割と気軽に貸しだしておる。 |
…訓練。 |
おう、それでは行くぞー。 |
いやぁああああああああああ!!! |
ぜぇ…ぜぇ…。 |
……。 |
突進力だけはたいしたもんじゃのう。 だが、無駄な動きが多すぎて見るも無残な…。 |
うっひゃい! |
時々、参考になった…。 |
うむ、時々光るものがあったのう。 それすらまったく無い連中とやるよりは、ずっと役に立ったわ。 |
ぐぎぎっ…。 |
あれー? もう訓練終わっちゃったの? |
ごらんのありさまよ。 |
あはは…。まぁそうだよね。 で、宝鏡さん。 |
なんじゃ? |
せっかく島に来たんだし、泳ぎに行きたいのー。 撮影もう終わっちゃったし。 |
おう、構わんぞ。 神凪、お前も遊んで来い。今日の訓練は終わりじゃ。 |
美澤。おぬしはどうす… |
行・く・わ・よ…っ! このまま訓練だけして帰宅とか、断固拒否! ふざけるなーーー!!! |
んー、あとそこのお前。 おぬしじゃおぬし。 さんざ覗きをしておいて、ばれてないとでも思っておるのか。 |
あら。 一応許可をとってるので、覗きではないですよ? |
月影さんだ! |
こんにちは。 第三世代機と、第二世代最強の神凪さんの訓練なんて、見過ごせないでしょ。 |
そうじゃろうのう。 参考になったか? |
ええ、とても。 かなり一方的でしたが…。 |
ぐぎぎっ…! |
ならお代は頂戴しないとな。 月影。おぬしはこいつらの引率じゃ。 わらわは後で行くから面倒みといてくれ。 |
あらあら。 安いお代で大変助かります。 |
さぁ、みなさん、ビーチはこちらですよー。 |
…はーい。 |
神凪さん素直…。 |
ちょ、こら…休憩を…ぐうう…。 |
海だーーー! |
はーい、慌てず騒がず、まずは準備運動からねー。 |
…はい。 |
ぶっ!!! |
わっ!! |
……。 |
か、神凪さん…? その浮き輪は一体…。 |
あはははははははははははははははははははは!!!! |
ちょ、美澤さん、ひど、ぷーー!くすくす… |
…。 |
ひ、ひぃ、くはははは!!! |
あははははははははははは!!!! |
うるさいっ!!! |
何のためのプライベート……。 |
……。 |
帰るわ。 |
あらあら、珍しい人が。 せっかくだからもっとのんびりしていったら? |
ゴミが来なければそうするつもりだったわ。 |
ほう、借りておいてその態度は良くないのう。 わらわの招待した客をゴミとはな。 |
……。 相変わらず貧相ね。 |
やかましいわい。 |
ったく、可愛げ無く育ちおって。 |
妹の礼儀の無さを見れば、育ての兄貴の程度も知れる。 なぁ?そうじゃろう? |
……。 離れたところで寝させてもらうわ。 |
おう、そうしろそうしろ。 |
相変わらず、彼女は愛想がないですねぇ。 |
若い身空で困ったもんじゃよ。 が、害なそうとしないだけマシかもしれん。 |
と言いますと? |
つまらん奇襲でもしかけようと思ったか。 無粋な輩を捕まえておいたぞ。 |
……。ふんっ。 |
あらー、また珍しい人が。 しかも武装解除状態…。というか水着ですか。 |
ビーチで水着を着ないのは無粋じゃろ。 |
……永世者がっ…。 |
んー? 真正面からやるか?お? |
あらあら、怖いわねぇ。 |
黙れ。 永世者以外、全員ひねりつぶしコアを奪っても構わんのだぞ。 |
やれるかもしれんが、やらせんよ? 大人しくしとれ。ここはリゾート地じゃぞ。 |
なんかあっちのほう、暗雲立ち込めてない…? |
こ、怖いよね。ボク斑鳩さん苦手だなぁ…。 |
……当たらなければ問題ない。 |
くっ、ぷっ…! 浮き輪姿でそんなこと言われてもっ…くく…。 |
神凪さん、泳ぎ方教えてあげようか? |
……。 浮き輪がある。 |
んー、そうなんだけどねー。 自由に泳げるのも楽しいよ?ね? |
……。 |
あのー、ここはどこでしょうか? |
六堂マリア!? |
わー、六堂さんだー。 |
気配…感じなかった…。 |
あ、あれ? 美澤さーん? なんでそんな遠くに…? |
うるさいわねー!その子トラウマなのよ! あんたも一度、地平線の彼方まで吹っ飛ばされてみなさいよ! |
ん? どういうこっちゃ。なんで六堂がここにおる。 |
あのー、ここはどこでしょう? |
どこと言われても、わらわの別荘の一つじゃが…。 |
別荘ですかー。沢山おうちをお持ちなんですね。 |
え、あ、おう。 |
おうちなのに、屋根がないようですが。 |
いや、ここはビーチじゃからのぅ…。 |
浜辺のことですね。なるほど、宝鏡さんは浜辺にお住まいなんですね。 |
…。 おーい、月影ー。 こいつの相手してくれー。 |
な、なぜ…。 |
お代の一つじゃい。 危険な奴じゃが、本人は基本無害じゃ…。 適当に着替えさせて泳がせとけ。 |
わらわはちょっと、あやつの保護者に連絡つけてくるわ。 おたくの娘さんは預かっておるとな。 |
あのー。 ヴァルフォースに出る予定でして…。 |
沢山の強いヴァルキリーの気配があったのですが…。 ここは会場ではないのでしょうか? |
とりあえずちょと待っておれ。 また転移して迷子になられたら、余計に厄介じゃ。 |
なんで!あんたに!あたしが負けるの!? |
へへー、ボクは水泳得意なんだよー? |
…ぺたぺた。 |
砂のお城ですかー、お上手ですねー。 |
…照れる。 |
……。 五月蠅い…。 |
ああ…。 |
……。 |
……。 |
殺気抑えろ……。 |
あんたもね……。 |
いやー、なかなかこんなノンビリできる機会ないですねー。 |
いつもヴァルキリー姿か軍服姿じゃが…。 脱ぐと良い体型しとるのう。 |
あらあら、ありがとうございます。 そちらはお変わりなく。 |
まぁの。 |
質問して良いですか? |
なんじゃい。 |
永世者は、人付き合いをあまりしないと聞いてます。 でもあなたはそうではない。 |
国際企業法廷執行局なんて団体を作ったり、そこに所属したり。 神凪さんを拾ったのもそうですし、他のヴァルキリーとも交流を持っている。 |
なぜですか? |
んー? なんでじゃろうのう? |
あら、質問して良いのでしょう? |
質問に応えるとは約束しとらんわ。 |
おい!美澤! わらわも混ぜい。 |
えー、ビーチバレーですよ? 宝鏡さんの体格でできるんですか…? |
阿呆。体格なんぞ身体能力でどうにでもなるわ。 |
やろうやろうー! |
ルール知らない…。 |
ボールを相手のコートにシューーートすれば良いんだよ! |
超エキサイティング…。 |
美澤・春風チーム。神凪・わらわチーム。月影・六堂チーム。黒羽・斑鳩チームな。 |
え゙っ、最後のチーム参加無理でしょ…。 |
まぁわらわに任せておけ。 よーし、始めるぞー。 |
わーい! |
わーい。 |
やれやれ、どうしてなんでしょうねぇ…。 |