夢ソフト

「ところで、あの飛び回っている方はなんというのでしょう」

「あれは黒羽ナガレというバッタの一種です。叩けば簡単に落ちます」

                ――六堂マリアと流星スバル、試合を眺め

ほう、流石だな。

…。

こんなところで何の用?

ヴァルフォースの見物なんてあなたには似合わないと思っていたけど?

あのヴァルキリーも相当な手練だったはずだが、傷一つ無しと。

それも『お兄様のヴァルキリー』のおかげかな?

何が言いたいのかしら。

いや?

別に他意は無い。素晴らしい機体だなと褒めている。

この世であまりに珍しい六発機だ。

コア封印を求める私が興味を持つのも当然だろう?

それに引き換え、あなたの機体はゴミみたいなものね。

これからはあなたのこと、ゴミって呼んでもよろしいかしら?

ふふ、まぁこれでもなかなか使い道のある良い機体だ。

『当てればどうということはない』

『当てられれば』ね。

所詮、機体など動かす者しだいだ。

使い手の思い通りに動くのが、良い武装だ。

その点、乗り手に負担をかけるような機体は屑だろう?

……ええ、その通りだわ。

そんな屑みたいな機体、世の中にあるのかしらね?

さぁ?

どうだろうな?

くだらない時間を過ごしたわ。

どいてくださる?

…、そうだな。

是非戦ってみたくはあるが…。

私にメリットが無いわ。

勝手に狩猟者を気取ってなさい。

ふっ。まぁ良い。

では、そのうちな。

…。

おっと、忘れていた。

私は、『黒羽ナガレという人間の能力』を非常に買っているぞ。

流石だよ、貴様は。

…っ!

勝者に称賛を送るのは人としての礼儀だろう?

では、またそのうちな。