「いいか美澤、我々はお前が綺麗に勝つことを求めてはいない。どんな形でもいい、食らいつけ」 「言われなくてもわかってるわよ、そんくらい!」 ――美澤エレナ、試合前の控え室にて |
では第二試合を始めるぞ。 |
次はそうさなー……美澤、おぬしが行けい! |
はいはい、やればいいんでしょやれば。 |
ったくどうしてこんなくっだらないことをやらなきゃいけないんだか…… |
ぶつくさ言っとらんでさっさと立ち会えばいいんじゃよ。 |
では位置についてー |
…… |
…… |
よし、争え! |
……っ……! |
行くわよっ……! |
よし争え、って……もうちょっとまともな掛け声はないんですか。 |
こまけえことを気にしてはならん。 それよりも、今回はまともな勝負になっておるではないか。 |
神凪山と美澤里、がっぷり四つに組み合ったー! なお、以後の実況は無様な敗者席からボクがお送りするよ。 |
二人とも組み合ったまま動きません。早く動こうよ! |
動こうよ、じゃねえわバカ。 実況が急かしてどうすんじゃよ。 |
それはそれとして……まわしを付けなくていいんですか? |
機体のパーツをどこかしら掴めば投げるのに困りはせんからいいんじゃよ。 |
貴女が相手の場合はどうするんです。 そのワンピース、破けちゃいますよ? |
立ち合いの時は破れんように材質強化するから問題ないわ。 余計な気を回さんでもええわい。 |
おーっと、美澤里がじりじりと前に出始めた! 神凪山押し込まれる、土俵際いっぱいだー |
ぬぐぐぐぐぐ! |
単純にパワーの差が出とるな。 |
何だかんだで美澤さんは賢いですね。 力勝負ならフレイムリーの方が有利ですから、投げさえ警戒して正攻法で行けばいいわけですし。 |
……むう。 |
どっせーい! |
美澤里、押し出した−! |
勝者、美澤里ー 美澤里はそのまま残れ。 神凪山は無様な敗者席の仲間入りな! |
なかまがふえた! |
………ちょっと悔しい。 |
ふー…… どんなもんよ! |
くだらないとか言ってたわりに結構熱くなってるわね。 |
別にいいでしょ! |
さーて、次はどうするかのう…… |
私が行きますか? |
そうじゃな。 |
というわけで、次は私が相手よ。 |
うげー…… |
どうやら次の挑戦者は月影海のようです。 勝敗の行方をどう見ますか? 解説の神凪さん。 |
……たぶん美澤里が勝つ。 |
ほうほう。その理由は? |
……美澤里が勝つ。 |
……… |
まあいいか! レッツ第三試合! |
二人とも位置につけー |
さーて、どうしたものかしら…… |
………… |
よし、潰し合え! |
ゴングが鳴った−! 両者、前に出てぶつかりあ……あれ? いや、組み合わない、組み合っていない! |
顔面への攻撃は禁じられていたけど――――喉輪はダメじゃないわよねえ? |
月影海、片手を前に出して美澤里の喉を掴んでいる! |
……ぐ、……がっ……! |
しかも全力で指に力を入れて締めている。えぐい。 |
殺す気かい。 |
月影海、そのまま身体を捻って美澤里を投げにいったー! |
はい、これで一丁上が―――って、あら? |
ぎ、ぎぎぎぎぎぎが、ああああああああ! |
美澤里、月影海に掴まれたままジャンプしたー! 月影海ごと身体が宙に浮く! |
しまっ……! |
あんたが、落ちなさいっ! |
両者空中でもつれ合い、美澤里が姿勢を入れ替え、月影海を下にして地面に落ちる! |
月影海、下敷きになった! ……頭から落っこちたけど大丈夫かなあ? |
もはやスモウではねえの。何も問題はないが。 |
とりあえず美澤里の勝ち。 |
あいたたたた…… |
どうやら大丈夫のようです。 |
どこまでもパワーに物を言わせた勝負じゃったな…… |
やはりこういう勝負だとフレイムリリーは強いですよ。 馬力が違いますからね…… |
とりあえずおぬしも無様な敗者席の仲間入りじゃな。 ほれ、さっさとあの二人と並んで座らんか。 |
はいはい。 |
またなかまがふえた! |
ぜー、はー……ぜー、はー…… |
まるで野獣。 |
うるさいわよ! 勝てばどうでもいいでしょ! |
まー、そうじゃな。勝者こそが正義よ。 |
それで次は誰が相手よ? |
んー、でもここで一旦休憩かなあ? |
うむ。続きはまた次回じゃ。 |