夢ソフト

「えーっと、つまりそう、素敵な人! 素敵な人よ! って聞きなさいよー!!」

                     ――面白くない回答その1

おい、おぬしらちょっと集まれー

なによ。

どうしたの……

なになにー?

お呼びですか?

そこの年長組、おぬしらもじゃよ。

何なのよ……

バカを集めて遊びたいならそいつらだけで充分だろうが。

そうですよ。

つべこべ言っとらんでさっさと集まればいいんじゃよ。





で、用件はなんだ。

うむ……ちょっとした一斉リサーチよ。

おぬしらの好みのタイプについてのな。

ほうほう。

ふむふむ。

えっ……

あっそ。

はあ。

そんなことでいちいち人を呼び出すとは相変わらず脳味噌が腐ってるな。

……? ???

あー………六堂はやっぱ帰れ。

おぬしには質問の意味を説明するのも一手間じゃからな!

わかりました。

すたすたすた

それに説明したところでどうせまともな答えが返ってこないでしょうしね……

じゃな。

……というわけで順番に答えてもらうとするかの。




まずは春風、おぬしからじゃ。

え、ボクからなの?

うむ。

好みのタイプって男の子のだよね?

それ以外の何があるというんじゃよ。

まあそこまで細かい回答を求めてはおらん。

大雑把にで構わぬわ。

だったら、んーと、面白い人が好きかなー。

でもって強い人がいいな。

んぁ? 強い人……?

だってパパが「付き合うならパパよりも強い人にするんだぞぉー!」って言ってるんだもん。

年齢次第で割り引きしてもいいみたいだけど。

ハードル高っ……

おぬしの親父ってほぼ人類最強じゃろうが……

なんつーか、こう、一個の生命体として。

しかしハードルは高いがわかりやすくはあるな……次いくか。

神凪、おぬしはどうよ。

……嘘をつかない人。

ほう。

嘘、なあ……誠実な奴ということか?

だが一口に嘘といっても色々じゃろ。

誠実であろうとして嘘を吐く奴もおる。

あるいは本当の事を話さないだけの奴もおる。

そういうのはどうなんじゃよ。

……私に気付かせなければそれでいい。

難しいぞ、それは。

貴様は大概の嘘や隠し事を見抜けるんじゃないのか?

うん。

周りが嘘つきとか、都合の悪いことを笑顔で隠す人ばかりだから。

………

………

………

そこでどうしてわらわを見るんじゃ!

そもそも神凪の周りで嘘こきまくってるのはわらわだけに限らんというに!

要するにわかるような嘘をつく人の相手をするのにはもう疲れたと……

そう。




結構ずっしりとくる答えでしたね。

私も少し耳が痛いです。

は、小娘の戯言など捨ておけい!

自分から聞いておいてその態度はどうなんだ。

ええいうるさい、次じゃ次。

黒羽、おぬしはどうよ。

言っておくが兄貴みたいなのがタイプとかそんなつまらぬ答えは許さぬぞ!

とりあえず馬鹿は御免よ。

前向きなバカはどうする。

それは許すわ。

果敢にリスクを取ること自体は好ましい資質だもの。

単純に頭の巡りが悪いのは嫌いなだけよ。

本物のバカを相手にしてると始終イライラしそうじゃしなおぬし……

んで他にはないのか?

あとは夢と野望を持っている人がいいわね。

野望……

世界征服とか?

そんなに大それたものじゃなくてもいいわよ。

野望のジャンルはあまり問わないから。

実業、アート、学問……何でもいいわね。

可能な範囲で挑戦していればそれで構わないわ。

足りないところは私がフォローするから。

今はそんな余裕もないけど。

好みのタイプというか自分がどこに喜びを見出すかという話になってない?

駄目かしら?

大変結構なことだと思うがな。

ほんの少しだけ見直したぞ。

結構すぎてつまらぬわ!

しかし頭が悪くなく野望持ちって結局おぬしの兄貴ではないか。

ノーコメント。

普段の言動がアレなのを除けばこの中で黒羽さんが一番まともな気がしてきましたね……




おい、小市民。

誰が小市民よ!

言われてすぐ反応するから小市民なんじゃよ。

さー、聞かせてもらおうか、おぬしの答えを!

ちょ、ちょっと待ってよ、今絞り込んでるんだから……

……もうその時点でダメじゃな。

どうせおぬしは漠然としたぽわぽわぽわーんとした好みしかなかろ。

だから優先順位を付けることもできんのじゃ。

うぐっ……!

というわけでおぬしについては聞くだけ無駄じゃな。

世の中の好みのタイプベストテンを上から順に並べたのがおぬしのタイプでよいか?

ぐぐぐぐ………!

凝った答えをせずとも何か一つだけ真顔で言えばまだ格好も付くじゃろうに。

ま−、それもできぬあたりが美澤ということか。

もはや質問じゃなくて単なるいじめになってませんか?

美澤の扱いなんてこれでいいんじゃよ。

がーーーー!




んで、そろそろ長くなってきたから続きは次回な。

はーい。