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「あははー、歳とともにハードルあげるってホントだねー!」 ――ヤバい発言その1 |
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前回の続きからじゃ。 |
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好みのタイプの話だよね? |
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確かそのはず。 |
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月影、そろそろおぬしにも答えてもらおうかの。 |
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あまり面白い答えはできませんよ? |
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おぬしに愉快な答えなど期待はしとらんわ。 そのかわりにちょいと細かく尋ねるとするか…… まずは顔についてとかな。 |
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最初から俗なので来ますねえ。 良いにこしたことはないですが、それほど重視はしません。 ただ、良かろうが悪かろうが自意識過剰だったり下手なコンプレックスを持っているタイプは苦手です。 |
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性格面での要望はあるか? |
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周りに配慮ができる人を望みますね。 前向きであっても突飛なことをされると疲れますから。 どちらかといえば落ち着いている方がいいです。 |
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そのあたりは春風の反対か…… では神凪ではないが嘘を付かれることについてはどうよ。 |
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別に構いません。 事を上手に回すためなら多少は嘘も隠し事も必要ですから。 |
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稼ぎや職業は。 |
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それも多くは望まないですね。 私は引退後も仕事を続ける予定なので生活面の不安もないですし。 |
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ただ、今ウチの国は失業率凄かったり色々と不安定なんですよね…… 相手が生き甲斐を失ってへこむ姿を見るのは忍びないですから、柔軟な働き方をできる人の方が精神衛生上は良さそうです。 ウチのところは公職追放とかも日常茶飯事ですし。必要であればいくらでも手助けしますけど。 |
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そういえばおぬしは立場上、国外の人間を選びづらいというのがあったか…… |
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そこ、意外とネックになるんですよ。 |
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個人的な要望だけならそこまで贅沢なものを持ってるつもりはないんですけどねえ…… 実際に立派な人は周りにゴロゴロいますし、私のほうから見てありかなしかで言えばありな人は多いです。 |
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ただ、私の立場が立場だけに向こうの方がこちらを対象からそもそも外してたり、あるいは気後れしていたりとか…… |
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あとは私が殺人的なスケジュールを強いられているのも辛いですね。 時間は作るものだと分かっていても、なかなかままなりませんよ。 |
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おぬしがその場その場で相手を取っ替え引っ替えするタイプでもないとなると尚更じゃな。 |
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結局小さなハードルが一杯積み重なって大きな障害となっている感じですね。 その気になればどうとでもできるとは思うんですが…… |
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…… |
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おい、美澤が白目を剥いているぞ。 そこまでにしておいたらどうだ。 |
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自分の未来かもしれぬ姿をあからさまに語られてショックを受けたか。 |
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人のことを失敗したみたいに言うのはやめてくださいよ。 |
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まあそうじゃな。悪かった。うむ。 |
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んで斑鳩、おぬしはどうよ。 |
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好みのタイプか? ないぞ。 |
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ほうほう。……ないんだ? |
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……… |
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いや、ないってこたーないじゃろ…… |
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ないものは、ない。 |
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一応捕捉するとだな…… |
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どんな相手が私の琴線に響くかなど正直予想が付かん。 そのことが解ってからは予断を持たないようにしている。 それだけの話だ。 |
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つうことはあれか、どんなボンクラや底抜けのバカでも構わぬのか? |
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可能性を否定はせんよ。 |
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ある意味では色恋を心底どうでもいいと思ってるから取れる態度よね、それ。 |
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そうなるな。 |
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潔すぎてもう何も言いようがねえのう…… |
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さて、これで一通り聞き終わったの。 |
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……ちょっと待ちなさいよ。 |
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なんじゃい。 |
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さんざん人に聞き回って、まさかあんただけ黙ったままで済ませられるとか思ってんじゃないでしょうね………! |
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ほう。わらわの好みに興味があるのか? |
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一応…… |
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うーん、なくはないかなー |
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どうでもいいです。 |
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私もどうでもいいわね。 |
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聞くと耳が腐りそうな予感がするからな。 |
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あんたたちは黙ってなさいよ! |
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というわけでさっさと言いなさい。 |
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仕方がねえのー |
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まあ、よかろ。 耳かっぽじって聞いておけ。 |
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わくわく。 |
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ごくり。 |
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とりあえずわらわは美澤とは違う! 確固とした己の好みのタイプを持っておる! |
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ほうほう。 |
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まず顔については贅沢は言わん。 魔貌の呪いを持っているような奴はたまに鑑賞する分にはいいが目にきつくてたまらぬからな。 程々に整っていればまあ良しとしようではないか。 |
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……いきなり訳の分からない寝言がきた。 |
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脳味噌の出来については、カミソリのように切れる必要はないが、いかなる窮地でも機転を利かせて危機を脱する程度には回るのが望ましいな。 つまり度胸も必要じゃ。肝心な時に萎縮し本領を発揮できぬ奴などクソよ。 |
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そして感情豊かでなければいかん。 危機に強くとも感情不感症では何もかもが台無しじゃからな。 無論、人格者であり誠実であることも求められる。 |
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……… |
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嘘は付いてもよい。むしろ推奨しようではないか。 必要があると思えば、わらわを本気で騙せるくらいの力がなくてはならぬ。 |
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決断力と情熱も必要よ。 わらわを選ぶか、それとも他の全てを捨てるかとなった時、熟慮と苦悩の果てに全てを投げ打つことができるのであれば、その心意気にわらわも応えてやろうではないか! |
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確かに斑鳩の言う通りね。 そろそろ耳が腐ってきたんだけど。 |
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だろう? |
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金については一文無しでも構わん。どうせわらわが腐るほど持っておるしな。 職業も問わん。だが、何者にもなれる確かな可能性を秘めているのが条件じゃ。 |
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……… |
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……まあこんなところか。 他にも挙げればきりがねえんじゃが、最低限のラインがこれな。 |
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しっかし、なかなか条件に合う奴が見付からなくてのう……おぬしら心当たりがあったら紹介してくれんか? |
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死ね。 |
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あるわけないでしょ!!!!!!!!!! |
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寝言も大概にしてください。 |
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しかも嘘をついている時の顔じゃない…… 条件については本気で言っているのが恐ろしい。 |
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まず鏡を見てそんな超人に自分が選ばれる価値があるかどうかを自問したら。 |
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うーん……ノーコメント! |
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……話せと言われたから話してやったのになんじゃその扱いは、くそ。 |
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あなたねえ…… そんなことだから人の心が残っている内に彼氏の一人も作れなかったのよ? |
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うるさいわ! |