夢ソフト

「若い子からすぐに死んでいくのよ。悪循環の始まりだわ」

                               ――月影アヤカ、疲れた顔で

今回のお題は非戦闘型のヴァルキリーよ。

そんなのがいるわけ?

いるわよ。

あんまり数は多くないけど。

そいつら何ができるのよ……

なんでもできるわよ。

正確には、なんでもできる可能性があるわ。

だから現状で具体的に何ができるわけ。

たとえばヴァルフォースでの出力計量とか。

それ、どんな意味あるのかしら?

ヴァルフォースは力を抑えての決闘だもの。

インチキされたら勝負にならないでしょ。

試合では常にそうした能力を持った機体が配置されているわ。

目で見える範囲にはいないから普段は意識することはないけど。

舞台を支える大事な裏方さんよ?

私にとってはすっごくどうでもいいわね……

ちなみにそういう特殊機は通常機と比べてかなり高価でねー

一機あたりの製造コストは段違いよ。

操る素質者に関しても更に厳密な適性を求められるわ。

いわばエリートオブエリートよ。

目立たないから一般的な認知度は低いけど。

ふうん……

最近は実戦に投入されるケースもしばしばね。

非戦闘型といっても周りをサポートすることは充分可能だし。

戦場の情報を分析しながら他のヴァルキリーを管制したりとか。

それ、頭がパンクするんじゃないの。

だから頭に色々とぶっ挿さしたり埋め込んだりするわけよ。

最新型は外部装置がなくても大丈夫とか聞いたけど。

他にはそうねえ……

気候制御用の機体というのもあったかしら。

それもまた物騒な代物ね……

今後はそういう特殊な機能の開発も進んでいくわけ?

昔から開発はされてるけど、いよいよ軌道に乗ってきたという感じかしら。

一部の第三世代機は技術的に大きなブレイクスルーを果たしてるし。

遠からず常識外れな機体が現れても不思議ではないわね……

空間跳躍して一気に距離を詰めたり離したり?

ええ、そういうふざけたタイプ。




それと今までの話とはあんまり関係ないことなんだけど。

何よ?

ヴァルキリーは地上から離れるほど無力になるから。

豆知識よ。

なにそれ初耳なんだけど。

じゃあ飛んだらダメってこと?

空を飛ぶ程度なら全く問題ないわよ。

上がろうと思えば低軌道くらいまでは上がれるし。

そこまで行けるなら充分じゃない……

ただしそれ以上は無理だし、攻撃を届かせることもできないわ。

ヴァルキリーが発したエネルギーはこの星から離れるにつれて凄い勢いで雲散霧消するのよ。

うさんくさいわねー……