「若い子からすぐに死んでいくのよ。悪循環の始まりだわ」 ――月影アヤカ、疲れた顔で |
今回のお題は非戦闘型のヴァルキリーよ。 |
そんなのがいるわけ? |
いるわよ。 あんまり数は多くないけど。 |
そいつら何ができるのよ…… |
なんでもできるわよ。 正確には、なんでもできる可能性があるわ。 |
だから現状で具体的に何ができるわけ。 |
たとえばヴァルフォースでの出力計量とか。 |
それ、どんな意味あるのかしら? |
ヴァルフォースは力を抑えての決闘だもの。 インチキされたら勝負にならないでしょ。 |
試合では常にそうした能力を持った機体が配置されているわ。 目で見える範囲にはいないから普段は意識することはないけど。 舞台を支える大事な裏方さんよ? |
私にとってはすっごくどうでもいいわね…… |
ちなみにそういう特殊機は通常機と比べてかなり高価でねー 一機あたりの製造コストは段違いよ。 操る素質者に関しても更に厳密な適性を求められるわ。 |
いわばエリートオブエリートよ。 目立たないから一般的な認知度は低いけど。 |
ふうん…… |
最近は実戦に投入されるケースもしばしばね。 非戦闘型といっても周りをサポートすることは充分可能だし。 戦場の情報を分析しながら他のヴァルキリーを管制したりとか。 |
それ、頭がパンクするんじゃないの。 |
だから頭に色々とぶっ挿さしたり埋め込んだりするわけよ。 最新型は外部装置がなくても大丈夫とか聞いたけど。 |
他にはそうねえ…… 気候制御用の機体というのもあったかしら。 |
それもまた物騒な代物ね…… 今後はそういう特殊な機能の開発も進んでいくわけ? |
昔から開発はされてるけど、いよいよ軌道に乗ってきたという感じかしら。 一部の第三世代機は技術的に大きなブレイクスルーを果たしてるし。 遠からず常識外れな機体が現れても不思議ではないわね…… |
空間跳躍して一気に距離を詰めたり離したり? |
ええ、そういうふざけたタイプ。 |
それと今までの話とはあんまり関係ないことなんだけど。 |
何よ? |
ヴァルキリーは地上から離れるほど無力になるから。 豆知識よ。 |
なにそれ初耳なんだけど。 じゃあ飛んだらダメってこと? |
空を飛ぶ程度なら全く問題ないわよ。 上がろうと思えば低軌道くらいまでは上がれるし。 |
そこまで行けるなら充分じゃない…… |
ただしそれ以上は無理だし、攻撃を届かせることもできないわ。 ヴァルキリーが発したエネルギーはこの星から離れるにつれて凄い勢いで雲散霧消するのよ。 |
うさんくさいわねー…… |