「それなら犬嫌いになっても良さそうなもんじゃがのう」 「結局のところ、頼られると流されちゃうんですよね……。はぁ……。」 ――隙間なく埋まったスケジュールを見ながら |
はーい、みんなのアイドル春風レンちゃんです! 今日もくだらないことをどんどん話していっちゃうよー! |
自覚あんのね。 |
ちっちっち。 そもそも学生時代の大半は、くだらないことでできてるんだよ! でもそれが掛け替えのない人生経験になるの! |
ちょ、え……? |
ってお父さんが言ってた! |
頭でもぶつけたのかと思って心配したわ。 |
えー、どういう意味ー!? |
まぁいいや。 さて、今日はみんなに猫派か犬派か聞いてみよー! |
ほ、ほんとくだらないわね……。 えーっと、猫と犬どっちが好きかってこと? |
うん。 美澤さんはどう? |
当然犬でしょ。 |
ほうほう、その心は? |
主人に忠実で、真面目で、鍛えがいがあるわ。 躾がいがあるってものよ。 |
なるほどー。 猫ちゃんのじゆうほんぽうさが気に入らないんだね。 そこが可愛いのになぁ。 |
あ、ボクは猫派ね。 あの気まぐれで好き勝手な感じが良いのにー。 |
……。 |
神凪さんはどっち? |
……。 |
そいつは猫派じゃろ。 以前も教えたじゃろが。 |
そうだっけ? |
『ゴロゴロしてる子猫』 |
……。 |
『2匹でじゃれあってる子猫』 |
……。 |
ああ、あったわね……。 いまだに表情の変化わからないけど。 |
神凪がこんなに露骨に表情が変わるのは滅多にないというのに。 |
宝鏡さんは露骨を辞書で調べた方が良いと思います。 |
ちなみにわらわは断然犬じゃのう。 |
特に赤いのが……。 |
スト―ップ!! |
猫ね。 |
ほうほう、その心は? |
主人にしっぽふって媚びへつらう犬なんて、気に入る要素あるかしら? |
うわぁ、性格出てるなぁ。 |
国の犬は、犬が好きなんじゃない? 自己投影ね。 |
犬は光学迷彩を見破るので面倒だな。 |
視点の意味がわかりません。 |
最近はそういう仕事はしていないが、昔はかなり面倒をかけられた。 |
猫とはなんでしょうか? |
この写真みたいな生き物なんだけど、見たことないかな? |
もしやこれが男という生き物では……? |
猫です。 |
そうなのですか。 |
可愛いでしょ? なでなでしてあげるべき生き物、それが猫ちゃんなんだよ!! |
なるほど。 |
で、これが犬ね。 こっちは躾けて可愛がる生き物よ。 |
なるほど、また一つ賢くなりました。 ありがとうございます。 |
猫派とか、犬派とか以前の問題だね。 |
そうね……。 |
犬かしらね。 |
ほほう。 |
やっぱり躾けがいがあるのが良いわね。 |
ですよねー。 |
しっぽを振って懐いてくる姿とかも愛らしいし。 |
……。 うちの後輩たち、犬っぽいのが多いわね……。 |
後輩? |
ヴァルキリー部隊の後輩よ。 私のことを慕ってくれてるのは良いけど、ちょっとまだ実力がね……。 |
そういえば以前も、そんな話聞いたかも。 |
あら、春風さん? うちに移籍してくる話考えておいてくれたのかしら? |
えーっと、ボクはアイドル活動とかもあるのでー……。 あはは……。 |
どこもヴァルキリーの人手不足は深刻ね。 |
それでも一人、とびきり忠犬っぽい子ががんばってくれてるんだけど……。 |
なんか頭痛してそうな顔してますけど……? |
いや、ちょっと懐きすぎてるのが問題で。 装備まで私に似せなくても良いのにねー……。 |
実弾系は今時じゃないのに。 せめて右手武器くらいは今風にしないと。 |
へえ、戦ってみたいなー。 |
ああ、まだダメダメ。 もうちょっと鍛えないとね。 |
あの娘が後継いでくれると、私も安心して引退できるんだけどなー……。 |
そもそもこの歳でまだヴァルキリーやってることになろうとは……。 教官兼任とはいえ、そろそろ後方任務になりたいわ。 |
隠すまでもなく露呈してるから話せるけど、うちの国の慢性的な人材不足にはほんと困ったものよね。 |
これは長くなりそうな予感が……。 |
み、身代わりの術ー。 |
……。 |
まぁそれでも、真面目に訓練してくれる子ばかりなのは私は恵まれてるのかしら。 |
でも犬みたいに尻尾ふってくるのは可愛いには可愛いんだけど、あの子は度が過ぎてるし……。 |
多連装ミサイルの装備もちょっと考え直させないといけないわよねぇ……。 今時じゃなさすぎて、トップランカー達に当たり目がほぼ無いもの。 |
二連装くらいなら出力集中で速度もあげられそうだし……。 グレネードと併用して牽制力とのバランスを……、難しいわねぇ……。 |
あ、神凪さんがうちに来てくれれば全部解決するんだけど。 |
無理。 |