『無事入国しました。民間機に一人で乗ったのは初めてです。緊張しました。 不審に思われたらどうしようとドキドキしました。でも私はやり遂げた。えらい』 ――夜霧シズカ、上長への連絡にて |
それでは神凪助手、今日の調査を始める! |
また急になんなの…… |
キミは他の人達の年齢が気になったことはないかな? |
……… |
……… |
……… |
ない。 |
嘘でもあるって言おうよ! |
ないものはない…… |
だけどそれだと話がここで終わりそうだから義務感によりあると答えておこうと思う。 春風さんは私に感謝するべき。 |
わーい。 |
……つまり今回は年齢の話? |
らしいよ? |
似たようなことは今までにもしているんじゃ…… |
こまかいことはいいの! |
………というわけなんだけど美澤さんはみんなの年齢知ってる? |
なんであたしに聞くのよ。 |
美澤さんはヴァルキリーマニアと聞いている。 みんなの年齢なんかたちどころに明らかにしてくれるはず。 |
あんたたちねー…… そりゃ確かにあんたらと比べれば詳しいわよ。 |
でもこの世にヴァルキリーが何人いると思ってんのよ。 法廷のランキングに載ってる範囲だけでも百人超えてるじゃない。 そんなのいちいち覚えていられると思う? |
それもそっか。 |
……と普段なら言うところだけど最近リスト見直したばかりだからある程度は覚えてるわよ。 |
ほう。 |
さすが。 美澤さんはできる女。 |
そんなことで褒められてもぜんっぜん嬉しくないんだけど。 |
とりあえず春風さんはあたしの一つ上。 で、黒羽さんは春風さんよりも四つ上よ。 月影さんは黒羽さんより七つ上。 |
生年月日が公開されている人達だとこんなところね。 |
ほうほう。 |
……あれ? 神凪さんはどうなの? |
プロフィールが公開されてないからわからないわよ。 実際のところあんたは何年生まれなわけ? |
二千八百五十四年。たぶん。 |
二千八百って……もしかしてそれカパメル歴? 咄嗟に出て来るのがそれとか随分とローカルな出身なのねあんた…… |
となるとちょっと待ってよ……統合歴に直すと…… |
…… |
あたしよりも一つ下ということになるわね。 |
……てことはこの三人だとボクが一番お姉さん! |
微妙に腹が立つ事実だけどそうよ。 |
なんか良い気分! |
十年後も同じことを言えるの…… |
そんな先のことなんかしらなーい。 |
ところで斑鳩さんとか六堂さんとかの年齢は? |
あんなイレギュラーな人達の歳なんか知るわけないでしょ。 |
だよねー |
んで今度はわらわかい。 |
メイはどうでもいいことばかり知っている。 だから聞けばわかると思った。 |
うんうん。 |
つってもなあ……六堂の年齢なんてあってないようなもんじゃし、斑鳩の正確な年齢なんてわらわも知らんぞ。 |
そうなの? |
まー、六堂の身体については神凪と同じと言っていいんじゃねえかのー。 |
しかし斑鳩のほうはわからんわ。 ある程度の推測はできるがドンピシャで当てるのは無理じゃろうな。 |
だったら大雑把でいいから。 |
どんなに少なく見積もっても月影よりは上のはずじゃよ。 だいたいわらわでも足取りを追うのが難しいとかふざけたスキル持ちじゃからな。 あやつ、やろうと思えば単独でストレイライト・ランもできるんじゃねえか。 |
かなり上なんだねー |
そのわりには落ち着きがないというか過激というか…… |
そりゃ誰もが月影のような性格してるわけではないからの。 もしそうなら世界はもっと平和じゃよ。 |
あたしとしてはあんたが年相応の落ち着きってものを見せてくれると嬉しいんだけど。 初対面で人を地面にめりこむくらいぶん殴るって一体どういう了見よ? |
そういえばあったなそんなことも。 生意気な小娘には一発食らわすのがわらわのジャスティスじゃからな。 |
そんなジャスティス捨てるべきだと思う…… |