「ごぼう食べる?」 「……生で?」 ――神凪アイと水無月ユーラ |
それでは神凪助手、今日の調査を始める! |
そのフレーズは前回も聞いた…… |
キミは他の人達の趣味が気になったことはないかな? |
……… |
……… |
……… |
ある。 |
嘘でもあるって言お………あれ? |
否定しても結果は同じ。 だから今回は最初からあると答えることにした。 春風さんは私に感謝するべき。 |
わーいわーい。 |
それで誰について調査するの。 |
うーん、どうしよっかなー |
この際だから神凪助手、まずはキミのことから探検だ! |
私の趣味……? |
……… |
……… |
……… |
そんなものはない。 |
嘘でもあるって言おうよ! |
嘘ついても話が続かなくて終わる…… |
えー? |
そりゃ神凪さんは忙しかったりトレーニング漬けなんだろうけどさー 他にはなーんにもしてないわけ? |
……… |
他……… |
そういえば。 |
そういえば? |
畑で色々と作ってる。 |
てことは農芸趣味? たとえばどんなのさ。 |
どんなのと言われても……一通り。 気候が合う範囲で根菜、果菜、その他果物なんでも。 |
うそお!? |
いや、神凪の言ってることは本当じゃよ。 |
神凪が住んでる官舎はクソ広いわりに数人しかおらん。 空いてるスペースで何をしようが勝手じゃからな。 屋上や庭の一部は神凪農園という状態よ。 |
農園て……神凪さんって実はヒマなの? |
ヒマじゃない。 だから最近は自分ではほとんど何もできてない…… |
けれど私にはメイに借りた百腕百足ロボがある。 私が何もしなくても畑を管理してくれるすぐれもの。 |
あれ、動きがキモいんじゃよな。 邪神もかくやという機動をするからのう…… |
うん。いつもうにょうにょしている。 |
スケジューリングも完全自動。 私は育てたいものを指定するだけでいい。 |
……… |
結局それって神凪さんは何もしてないんじゃ…… |
否定はできない。 最後に自分で畑に入ったのがいつかは思い出せない。 |
自分でやらなきゃあまり意味がない気がするんだけど…… そもそもどうして畑を作ろうと思ったのさ。 |
子供の頃に家の手伝いでやっていた…… だから自分でも作ってみようと思った。 |
つってもこやつは動きがトロいからの。 見かねたわらわがゴージャスなロボを貸してやったんじゃよ。 |
ゴージャスすぎるのが困りもの。 最近は私の意志に関係なく農地を拡大している。 |
一日の活動時間を制限したら勝手に自分の同型機を組み上げて労働力を二倍にしていた。 なんなのあれ。 |
おそらく他のドローンを襲って解体した部品でやったんじゃろうな。 まあ面白そうだからしばらくほっとけ。 人類に牙を剥くとしても十年か二十年は先のことじゃろ。 |
わかった。 |
やだこのひとたちこわい。 |